ブログ

 前回の続き チャンスの女神の髪の毛は、勝手に、向こうから、流れてきた。

私は、踊り始めて直ぐに全身汗ビッショリになりました。やはり服部さんは上手かったのです。
組んでみれば直ぐに相手の実力は判ります、逆に言うと私の実力も相手に判る筈です.。
途中でレッスンを止める様な不様な事はだけ避けなければなりません。

デモへのレッスンが始まりました。私は教師としてのプライドが有りますから、全神経を集中して
全力で踊らなければなりませんでした。見る見るうちに汗が吹き出る様でした。でもそんな
私の内心を知ってか知らずか服部さんは追い討ちを掛ける様に、踊っていると一寸踊りが
詰まったり、バランスを崩したりする事が何回か続く箇所が出てきます。 其の時です。

服部 「先生、一寸、待って、ください」そう言うと、一人でシャドウを始めバランスとタイミングを
確認 しながらそのルーテンを何回か踊ってから、私の所へ来て「ハイ先生、踊りましょう」
もう教師面目丸つぶれです、私も服部さんがシャドウで踊ってる間同じようにして、確認の為
シャドウをしておどって居ました。廻りの人が見れば異様なレッスンに成って居るのだろうと
思いながら全身から汗を噴出しながら、全神経を使いきる様な思いをして、なんとかその日、
レッスンを終えました。でも、内心自分の実力では{H部さんは、次回は来ないだろう}と思いました。

しかし、次の日も服部さんは来ました。私は、{そうか、入会の時の、チケットが、終る三回までは、
来るつもりかな}そう、思いました、次の日もH部さんは来ました。そうして三回目のレッスンも無事に終り
入会の時のチケットは全て終わりました。“此れでヤット終わったな、!”所が無事では有りませんでした、
何故ならレッスンが終った後、服部さん「先生チケット、終りました」そう言うと今度は
チケットを纏めて購入したのです。

私には、服部さんの気持ちが判りませんでした。何故なら「先生、一寸、待ってください」そう言って、
シャドウを、してから「ハイ先生、踊りましょう」が三日間のレッスンの間ズート続いていましたので、
私としては、教師の仕事をした覚えが無いからです。私の実力は裸にされて評価されているはずです。

でも、判った事も有ります、服部さんが本気でコマ劇場でデモを踊ろうと思っているらしい事が
{彼女は、本気だ、でも、何故、如何して、自分のリーダーでなく、私なんだ?}私は次の日から
途にかく考えを換える事にしました、教師と生徒と思う事を止める事にしました
、 “今がチャンスだ”
{服部さんは本気で私とデモをする気だ。そうなら理由はどうでも此れは上手くなるチャンスが、
向こうから勝手に転がり込んで来ている訳で、 だったら教師の面子もプライドも捨てて
毎日のシャドウの時間を彼女との練習時間と思う事にしよう チャンスが転がって来たんだ}、

それからは毎日、とても先生と生徒のレッスンには思えない、可笑しなレッスンが続きました。
私も、H部さんも、踊っていて気になる事や上手くいかない所があると、組んで踊っているのを解いて
お互いにシャドウをして、確認をしてから組みなおして踊り始め、少し踊っては又シャドウを繰り返す、
レッスンと言うよりは、真剣勝負をしている様な感じでした。

レッスンの最初にチケットを切て、後は次の生徒が来るまで時間に関係無く、レッスンと言う名目の、
練習でした。それから数ヵ月後、服部さんを連れて、新宿のコマ劇場に行き、本当に照明のなか
スポットライトを浴びて、服部さんとデモを踊りました。デモが終わり服部さんに御礼を言われた時、
本当は内心{練習に付き合ってくれて有難う、御礼を言うのは自分だよ}そう、思っていました。

当時の自分の実力を考えると今でも不思議です。何故ダンスの最期デモの相手が十年間のリーダーでなく
如何して私だったのか、服部さんに最後まで聞かなかったし、服部さんも言わなかったが、自分なりに、
推測している所では何らかの理由で、“十年間の彼とのダンスを取るか”、“家で仕事を取るか” 、
選択を迫られ彼女の選択はデモでのダンスだった.のだろう。

彼女にとってのコマ劇場のスポットライトを浴びてのデモストレーションは、
“デモは人生の選択を決めたラストダンス” だったのだらう、推測だが外れてはいないだろうと、
思っている。十年間の教師生活で、只一人私を上手にした生徒だから、
題は、2~3/100どころか、1/1000に直す必要があると、思います

ラストダンスは、人生の選択を賭けた、ダンスに決別の為の、デモストレーション

でも、H 先生の10話で、書いた、チャンスの女神の前髪が、風に乗って、流れて来る話のように、
私にも、それが実力を引き上げてくれた、服部さんと言う風になって、吹いたのでしょう、