写真 たかが写真 されど写真
私は写真が嫌いです、十五歳位の色気ずいた頃に、どんなに写真を写しても、
良い男に写らない、それがカメラの所為では無く、モデルが良くないのだと、
気が付いた時に、写真が嫌いになりました。
それまで私はどちらかと言えばバンカラで、自分の容姿に気を使わなかったので、
男にも伊達男と醜男が有り、私は容姿では前者に属してない事を理解した時に、
どうせ、良い男に、写らないのなら“{写真を撮らない事にしよう}”と、決めたのです。
それ以後学校の卒業写真と、結婚式の記念写真を除くと、後は殆んど無いです
(別に、写真が悪いのでなく、モデルが悪いと解かっても写真は嫌いです)
、 所がです、それ程嫌いで撮りたくも無いし、残したくもない筈の写真が一杯有るのです、
それも実は、他の人のアルバムのなかに大量に或るのです。良い男に撮れて無いだけなら、
未だしも、、何処から見ても格好の悪い写真まで、アルバムにきちんと貼られてるのです。
、 ダンス教師になって直ぐ思いました。ダンスを習いに来ている人は非日常的な事を、
楽しみに来るのだから、出来るだけそうして上げ様と、自分もそうです、競技会のあの
フロア-に立っている時の“何とも言えない緊張感、身体の奥から沸きあがる様な
ゾク、ゾクするような興奮” 私は強い神経で揚がる事など無い、などと大それたことは
言いません。、
何故なら、そうです普通では味わえないような、“体全体で痺れる様な異常な精神状態”に、
非日常的な充実感を、味わう事自体がもう普通の精神状態では無い訳ですから、
でもその非日常的充実感は他に換えがたい面白さなのです。
私は自分の生徒にも、この非日常の世界の面白さを味あわせて揚げたいと思ったのです、
それで競技会とは少し違いますが、ドレスを着せて、大勢の人の前でデモストレーションを
させようと思いました。私の生徒は技術のうまい下手でなく出来る限りです。
知ってる人もいると思いますが、当時パーテイとか発表会でデモに出ると、その費用が
何十万円も掛かりました。今と違いサークルもそれ程盛んでは有りませんでしたので、
他のお稽古事と一緒でした。
出るだけで、ドレス代、パーテー券の購入代、先生への御礼などで大変な費用が
掛かりました。それが嫌で教習所を止めてサークルを選んだ人達もいたくらです。
ですからデモに出れる人達は限られていて経済的に、かなり余裕の有る年配の
人達ばかりと言っても良かったのです。
(先生方は肉体労働の技術者で、ボーウナスも保証も無い生活ですから、発表会の
収入は大きかったのです) でも私は、若い子も上手い下手も無視で関係なく、
私の生徒は、出来る限り非日常の世界のなかで、ドレスを着て大勢の前で踊って、
違う自分になる楽しみを、味会わせてあげようと、思ったのです。
(29話の、リトルダンサーの、ように、子供もです)
経済的負担を軽くして皆が、御小使い程度で出れる様にしました。H先生には技術を.
安売りするなと注意されましたが聞き流しました。私の目論見は成功しました、
多くの生徒がデモに出る事になり、その為スタジオのパーテイのプログラムは私の
出番に会わせて作成する様でした。
所がです、私の予期しない事態が起きました。それは.デモに出た皆が、
私のあれ程嫌いな写真を撮りまくるのです。、それも踊っている時だけで無く
踊り終わってからも、腕を組まされポーズを撮らされて、そして大量の写真が出来てきます。
其の中には、トンデモナイ格好の、写真も有ります。そんな、写真までも、
「キャー見て、見て」、「アッチ向いちゃってる」「ヤダ、ヤダ、しゃがんでるみたい」
などと言いながらそんな写真までも全部、彼女たち生徒のアルバム貼られています。
そんな時の私の格好は、彼女達を抱えるだけで精一杯で、人に見られたくない教師として
見せられない写真なのです、内心{何が、見て、見て、だ!人に見せるな}技術の無い下手な
教師の様です教師としての自尊心が傷つきます、もう赤面する様な思いなのです。
でも、彼女達は皆大喜びなのです、そうなのです、私がアルバムを持っていないだけで、
教師を辞めるまで出来るだけ多くの生徒を喜ばせ様とデモにだしました。そんな訳で
他の人のアルバムの中に大量に有るのです。良い男に写って居無いだけならまだしも、
赤面するような、そんな写真が大量に他の人のアルバに有るのです、
其れを想像すると思った分だけで、背中を冷たい汗が流れる様な赤面する様なアノ写真がです。
これを読んでる貴方、思い当たりません?一杯 写真があるのでは
写真たかが写真されど写真です
もしこの千夜一夜に、アラジンのランプ、があれば、私なら、こう願い事をします
皆の大事な写真ですから、全部とは、言いません、私の写ってる、部分だけ消してください