八月も十日を回ると目に見える気がするくらいに涼しくなったはずの木島平らなのに、なにやら暑苦しくて仕方ないのは首都大競技ダンス部の連中のせい。蝉と小鳥とヤギのさえずりと木々のざわめきしか聞こえない、マイナスイオン全開のはずの(ちなみに私はマイナスイオン科学的根拠無い派ですが)山奥には日々ダンスホールから爆音とそれをかき消す絶叫、悲鳴、奇声。そして地球の気候に影響を与えるんじゃないかと思わせるような熱気がむんむんと立ち込めています。
先日、リオのプールが一夜にして緑化してしまった騒ぎの原因の一端を彼らが担っているのではないかと密かに考えているのです。地球の裏側に蝶のはばたきが何らかの影響を及ぼす、バタフライエフェクトのように。何とも人騒がせな連中でございます。
さて、合宿もいよいよ終盤に差し掛かり、メインイベントというかラスボス的な日程を迎えるようになりました。恒例の深夜の踊りこみです。この日のために、OBがわざわざ東京方面から大挙してやってきて、後輩をシバキ倒すわけです。春合宿の踊りこみは何度か見学させてもらっていたのですが、夏の踊りこみは実に四年ぶりになります。そしてこれが予想以上にすさまじかった。
「戦争を知らない日本人よ、これが戦争だ」
亡国のイージスより引用させていただきましたが、おい、ここに戦争があるぞと思わずつぶやきたくなる様な光景。
真夏に外に音が漏れないようにホールの窓をすべて閉め切ってひたすらに踊る上級生たち、そしてそれを周りで支えるガヤ軍団、じゃなかった。下級生や他のダンスの人々。
ホールに持ち込んだカメラが一瞬にして曇り、レンズをぬぐってもぬぐってもあっという間にぼやけてしまうのでもうあきらめました。以前から、熱中症、過呼吸でばたばた人が倒れるとは聞いていたのですが、
これは確かに死人が出てもおかしくないテンション。ホールに三分も立っていられない。暑苦しさと、爆音の音圧、そして息苦しさ。さらには汗臭さ(おそらくはこれが八割の要因)これが競合校の実力を支えているのですな。
そうして一夜明け、死人のような顔をしてみなが朝食の場に現れます。今日は一日廃人のように過ごして、夜はコンパで馬鹿騒ぎです。青春だなあ