某私立大学合宿記
某私立大学舞踏研究会は、体育会系色の強いダンス部である。此れから書くのは、そんな
事から起きた話です。 或る日の朝、朝食の準備をしていた時に、一年生の女子部員が
叛乱を起こした。事の起こりは、
”上級生の指導方法が前近代的で上下関係が強すぎる”と抗議した事である。
朝食後のかたずけの時に女子部員が、私のところまで来て「他校の合宿も同じですか?」
私は、返事に窮して、思わず「その学校によって色々ですよ」と、当り障りの無い返事をした。
では、日々の状況を説明しましょう。朝、朝食前柔軟体操の後、一人づつ校歌を歌い
その日の練習の抱負を言わされる(前日上級生に注意を受けた、ホウルド、フットワーク
ネック、リズム、等)声が枯れる位大きな声で繰り返させられるらしい
食事の時、一、二年生が準備をするのだが、準備が出来ると先ず上級生の席順を決め
接待係が決められたら、階段の降り口、降りた所に、案内係が一人づつ立つ、
そして呼び出し係りが食事の準備が出来たことを告げに行く、
案内を告げられた上級生が部屋の戸を開けると、階段の降り口の案内係りが、
「何々先輩此方へどうぞ」と案内をする。階段に上級生の姿が見えると、降りた所の案内係りが
「何々先輩食堂へどうぞ」と案内をする、食堂へ降りると、部員全員で「何々先輩此方へどうぞ」と
、 呼んで、三年生女子、三年生男子、四年生女子、四年生男子顧問の先生の順で、席まで
案内をしたら食事である。
食事が始まるそして一年生は、お盆を、持って先生と、四年生の後ろに。立って「もう良い」と
言われるまで、給仕係として立っていなければならない。食事が終わると降りてきた時と、
反対に、顧問の先生から順に、部屋へ帰って行って、上級生全員が、部屋に帰るや直ぐに、
接待係がお茶の用意を、して部屋まで運んで、要約に朝のセレモニーが終わります。
そして同じ様にして昼食、夕食と計一日に三回このイベントが行われます。練習中は体育館に
行ってますので様子は解かりません
夜一日の全てが、終わると、一年男子からフロアーに整列して上級生を待ちます。上級生が前に立ち
“点呼”と、言います。すると、はしから「1,2,3、・・・・一年男子総勢( ン )名 異常有りません」その後、
上級生からその日の反省事項を注意されて解散、 順次、一年女子、二年男子、二年女子と順番に、点呼
健康チェク、反省事項、注意が繰り返されます、そして一日が終わるのです。
部の方針として、教育の一環としての考え方が此の大学も強く出ていて、礼儀正しく礼節を、重んじる事が、
徹底されています。上級生の前に、出たら挨拶で“コンニチハ”下がる時には、“失礼します”を、必ず言います。
そして部外の人に合ったら、上級生も含め全員が挨拶します。私達には勿論当時、幼稚園と小学生に
なったばかりの長男と次男にも、きちんと挨拶を全員が行います。そこで次男と長男は部屋から出る時は
、 ソート、ドアを、開けて“コンニチハ光線”の攻撃を、浴びないタイミングを見計らい目的地まで駈けて行きます。
合宿が始まり数日して、女子大の顧問の先生が私の所に来ました。(女子大のダンス部は男性が、
居ないので、学生連盟所属の他大にリーダー校が決められてます。)女子大の先生申し訳なさそうに
「“少し胃が痛く気分が優れないので何処か連れて行ってくれませんか”」 案内係に誘導されて、
接待係の付いた三度の食事と、“コンニチハ光線”を浴びつづけて気の毒に、此の女性の先生は、
体調を、崩してしまったらしい、
女子大の先生を北信五岳の修験者道場後の小菅山の杉並木参道から、頂上までハイキングに
案内をした。人の居ない空間と景色に “ホッ”とした様に、元気になった。
叛乱を、起こした女子部員は、ドウシタカ?勿論却下されました。
“部の伝統と式たりを崩すことは出来ない” 彼女たちは翌年の合宿に来た時に、新入生の
一年生に挨拶の仕方お茶の出し方、食事の時の席順、案内の仕方、接待の仕方、諸々、
一年前の反乱事など無かったかの様に、伝統どうりに教えていた。
つぎの年には、上級生になる訳です。
伝統は、保たれ受け継がれ、青春は続く