真夏のアツイ話
前に書きましたが(第1話)、経営者のH先生と奥さんの練習での喧嘩の凄さを書きましたが、
その為T子先生のレッスンは少し変わっています。出来る限り自分のバランスを崩さない事が、
大前提で昔、アービン大先生のパートナーのボビーさんが、レッスンで少しでも、腕に力を
入れられると、組んで踊らないでレッスンをしたと言う話を見習って、、レッスンをしてます。
、
踊り始めはホールドをするのですが五分もしないうちに、生徒はシャドウの様に手を上げて、
ホウルドをして、T子先生がその前を踊りながらレッスンをします、(想像して下さい、一人で、
ホールドをした侭の生徒の前を、T子先生が自分でP,P,になったりクロウズドしたりしながら踊るのです、)
そう、しながら生徒がバランスを崩してしがみつくと、直ぐに渋い顔をして、「そんな事したら私が、、
踊れないでしょう、真っ直ぐにしてなさい」 要するに、T子先生のレッスンは、生徒にシャドウを
させながら自分で踊るのです。それでも、時々手を組んで、ホールドをするのですが、生徒が
手に力を入れて握ったりすると途端に、もう大変です、「そんなに力を入れて、私の手を握り潰すか、
指の跡でも付ける気?」
直ぐに毒舌が、ポン、ポン、飛び出して、又、、生徒は手を離されて、シャドウの様にホールドを
させられて踊らされてしまいます。そんな風ですので私から見ると、長く来ている生徒の人は少し
M気のある人?又は、毒舌も効かない暖簾に腕おしタイップの人?兎に角、少しユニークな人が多いです
その中の一人にY岡さんがいます、彼は何時のまにか気がついたら古株になっていました。
Y岡さんはお酒が好きなようで、時々アルコールの匂いをさせて、レッスンに来る事が有ります
そんな日は、T子先生の毒舌は激しさを増します、と、言ってレッスンを嫌ってる訳では有りません
、毒舌に磨きがかかるという感じです、でもY岡さんには効き目が有りません。、
普段からそうなのですが暖簾に腕押しで少しも応えません。そんなY岡さんが暫く顔を見せない時が
有りました。久しぶりに顔を見せた時、Y岡さんの首にコルセットが嵌められていました。
Y岡 「レッスンの後車で途中まで走っていたのだが、気が付いたら逆さまになっていて、
首が埋まっていて、動けなくって其の侭警察が来て、救急車が来て、救助されて、入院だよ」
酔っ払い運転で事故を起こして、車ごと引っくり返って救助される大事故だった様です。
そんなY岡さんがある年の夏全く顔をみせませんでした。秋も半ば、先生達の話題になり始め
「T子先生イジメ過ぎたんじゃないですか?」「あの程度で応える位なら、もっと前に来なく
なってるわよ応えるもんですか!」 Y岡さんが久しぶりに顔をみせました。
T子先生の毒舌が早速、一発 「上手くも無いのに長い事休んでいたら、踊れる訳無いんだからネ、
早く靴を履いて動いてなさいヨ 」先生達は皆、興味深々です。その日、レッスンが終わると、
どうして顔を見せなかったのか質問集中です。答えは、訊いてみて、ビックリでした。
Y岡「千葉の九十九里まで遊びに行って、何時もの様に、ビールを飲みながら、ボートに乗って、
好い気分で、甲羅干してた所までは覚えているのだけれど、気が付いたらベットの上で
うつ伏せにされて、身動き出来ない状態だったんですヨ」
後で知らされた話では、漁船が漂流してるボートを発見し近ずいた時、Y岡さんはビールを飲んで、
甲羅干しをしているうちに寝込んでしまい、発見された時は熱射病で意識不明のまま、身動き一つ
しなかったらしい、もう少し漁船の発見が遅ければ、潮の流れに乗って外海に流されて行ってたらしい、
兎に角うつ伏せの状態だった為、背中から足の裏まで日焼けによる、火傷と熱射病による脱水症状で
病院に運び込まれた時は危険な状態だった様だ、幸い熱射病はなんとかなって、意識が戻り気が
付いたのだがそれから後が、大変だったらしい日焼けで、身体の裏半面こんがりと、焼けた火傷の為、
寝返りも打てずに、長期入院していたようだった。
そんな訳で、Y岡さんは、この年の夏は、“暑い夏”でなく、“熱い夏”を、過ごした、様だ
でも長期入院の日焼けは、どんな、日焼けでしょうね兎に角、熱い夏だったでしょう
アルコールの好きな人、飲んでの甲羅干しは、気を付けましょうネ!